健保のしくみけんぽ解説シリーズ

けんぽの仕組み

2021/04/02
田中 克彦


突然の怪我や病気で医療費がかかったり、働けなくなったりしたときに、 みんなで出し合ったお金を給付する仕組み。これが健康保険です。 この仕組みの中で保険料の管理や、医療費の管理をしているのが健康保険組合です。 保険証の交付、保険給付、他にもみなさんの健康を手助けする事業などを行っています。

目次

健康保険制度について

私たちは日頃、病気やけがをしたときに、自分の選んだ病院・診療所(診療時間内)に行くことができます。

これは世界の主要国では珍しく、ドイツを除いては海外の主要国では似た例を見ません。 アメリカは、全国民を対象とした医療保険制度がありません。 また我が国では、一方で全国民が何らかの医療保険に加入することが義務付けられていますが、 ドイツでは一部の国民は対象外となっています。

つまり、我が国では全国民が医療保険に加入し、 万が一、病気やけがの場合に補償が受けられる”国民皆保険”制度が半世紀以上前、1961年に確立しています。

今後もこの世界に誇る医療保険制度を維持、発展させていくためには、 全国民の努力で負担(保険料の納付)と給付(医療給付)を適正化させていくことが大事です。

保険料について

健保が法律に基づいた事業を行うために、従業員の給与・賞与の支払い後に、 その額に保険料率を乗じた保険料を従業員(被保険者)と事業主から納付することが義務付けられています。 従業員と事業主との双方が負担しあって健保を支えていることになります。 料率は3%から13%の間で健保として定めることとされています。

双方の負担割合は、法律で事業主が半分以上とされていますので、 全額が本人負担である国民健康保険より、本人の負担は軽減されています。

健保の収入源はこの保険料収入がほとんどで、その他は国からの補助と雑収入です。

健康保険組合について

”国民皆保険”が確立するさらに約40年前の1922年に”健康保険法”が制定されています。 この法律は、ドイツの疾病保険を参考に作られたわけですが、名称に”健康”を謳っている点に注目です。 約100年前の制定時から、国民の健康を願って作られた法律で、 政府の事業を独立した法人(健康保険組合)が代行するものです。

現在では、全国に約1,400ある健康保険組合(健保)は、常時700人以上従業員がいる事業所や、 同種・同業で3,000人以上従業員が集まる事業所によって設立されます。 健康保険法は健保以外に、全国健康保険協会(協会けんぽ)に適用されます。

健康保険法以外の医療保険制度には、国民健康保険、共済組合などがありますが、 国民の半分以上は健康保険法の適用を受ける健保や協会けんぽに加入しています。

健保の運営は、事業主の代表と従業員の代表である同数ずつの理事や議員によって理事会や組合会が開催され、 法律に規定される範囲の中で自主的、民主的に行われています。

保険給付について

健保では、保険料収入を原資に主に保険給付に支出しています (この他に国へ高齢者医療を支えるために各種納付金、加入者の健康増進のための保健事業費があります)。

健保の保険給付は被保険者(従業員本人)と被扶養者(その家族)の病気やけが、 傷病による休業、出産、死亡などに対して、医療費のの負担や各種給付金を支給することにより、 皆さんの生活の安定に資することとしています。

具体的に給付の対象となるのは、法律で定められた保険の適用の範囲の療養であり、 美容整形や健康診断などは適用外となります。 また、勤務中(通勤途上を含む)の病気やけがは労働者災害補償保険法によって保障されますので、 健康保険の適用外です。


田中 克彦
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリー
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーのシニアコンサルタント。 1954年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部経済学科卒。日本発条㈱に1976年4月~2019年3月在籍し、経理部や人事部、同社健康保険組合常務理事を経験。その才能は多彩であり、多くの資格を持つ(労働安全衛生トレーナー、第一種衛生管理者、心理相談員、ストレスマネジメント検定(マスターコース)、キャリアコンサルタント、健康経営アドバイザー)