自己責任論|Bonne Santé
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自己責任論

7/3/2020
田中 克彦

健診と車検

 毎年、健診を受けるのが鬱陶しいという人は多いのではないでしょうか?でも、勤務先の就業規則や労働協約には、毎年健診を受けるのは従業員の義務になっていると思います。また、労働安全衛生法には事業者の実施義務が規定されており、労働者もそうした施策に協力することを努めるようになっています。
一方、私たちのマイカーには、数年に一度、道路運送車両法で車検を受けることも義務付けられています。
 健診と車検、両方とも法令で義務付けられ、個人、企業、ドライバーの社会的責務と考えますが、本当にこれでいいのでしょうか?
 

無自覚と低知識

 会社を退職して、健康保険組合から離れると、健診を受ける方が減るようです。これまで働いているときは、毎年健診時期になると、会社から、日時と場所を指定されただそれに従い、健診を受けていました。退職すると、自分で市町村に申し込まないと健診は受けられません。しかも、これまでどのような検査項目があったかも不確かで…。
 一方、マイカーも一部のマニアを除いては、自分でマイカーのメンテナンスはできません。私もタイヤ交換は苦手です。不具合があれば、すぐ、整備工場や販売店に連絡しています。
 なぜでしょうか?米国は自己責任を求める国です。健診の義務化はもちろん、一部の州では車検の制度はありません。自身の健康もマイカーの安全も全て自己責任を行います。よって、自覚を持ち、そのために必要な知識も持っています。数年前に医療保険制度の拡大に対して、「国民の自己決定権を侵害する」と言って反対した国民が多かったのは驚きです。
 

誰のための健康か?

 知人で十数年も健診を受けていない方がいます。この方は会社を50歳過ぎに辞めたのですが、健康です。その方の健康管理は、自分の身体の声を聴くことだそうです。ここで詳しくは紹介できませんが、誰でもできることではなさそうです。そうであれば、自分がしたいことをする、なりたい自分になるために健康が必要であれば、せっかく与えられた機会である健診を利用すべきです。しかし、受診して安心ではなく、その結果を良く理解すること、改善するためにどうするかが大切です。
 そうです!健診は受けることが目的ではなく、健康で何をするか、を達成するための手段です。


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田中 克彦
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリー
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーのシニアコンサルタント。 1954年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部経済学科卒。日本発条㈱に1976年4月~2019年3月在籍し、経理部や人事部、同社健康保険組合常務理事を経験。その才能は多彩であり、多くの資格を持つ(労働安全衛生トレーナー、第一種衛生管理者、心理相談員、ストレスマネジメント検定(マスターコース)、キャリアコンサルタント、健康経営アドバイザー)
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