OPINION田中新聞

医療費の3割負担について

2021/07/23
田中 克彦

目次

以前は少額だった!

現在、6歳以上から70歳未満の人が病院に行ったときは、医療費全体の3割の金額を窓口で支払っています。

1961年の国民皆保険制度の成立当初、サラリーマンの自己負担は定額でわずかな額(数百円)を支払っていました。それが時代を経るにつれて、我が国の医療保険制度の収支が徐々に悪化しだしました。現状の3割負担になったのは、2003年の小泉政権時の構造改革によってです。その時の法律改正時の付帯決議にこの3割負担を維持するとしていますので、この3割負担は当分の間変わらないと私は考えています。

3割が限界?

では、なぜ3割なのか?欧米先進国と比較すれば分かります。本人負担が3割を超える国はほとんどありません。米国のような民間保険が主の国や、定額負担の制度の国がありますので、単純比較は無理かもしれません。

保険制度の仕組みで保険料を3割を超えたら、それは保険とは言わないという意見もあります。

高齢者や高額医療費の負担は3割を下回る

年齢が高くなると、自然に持病が悪化したりけがもしやすくなるので、医療費は増大するのが一般的です。しかし年金収入が主な高齢者には、高い医療費負担は耐えられません。そのため2008年に、75歳以上の高齢者は原則1割負担の後期高齢者医療制度に加入することになりました。これが先日の国会で2022年には一定以上の収入がある方は2割負担に引き上げられることが決定し、話題になっています。

また長期間療養を要する入院や、難しい病気やけがは一時的に高い医療費が求められます。そのために高額療養費という制度があります。これは一定限度以上の本人負担を避けることができ、実質負担は3割を下回ります。

このように我が国では保険医療の範囲では最高でも3割を負担すれば、あらゆる治療が受けられることになっていて、非常に手厚い制度となっています。
もっとも、健康で診察や薬を必要としなければ3割の負担もありませんから、健康が一番なのは言うまでもないことです。


田中 克彦
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリー
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーのシニアコンサルタント。 1954年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部経済学科卒。日本発条㈱に1976年4月~2019年3月在籍し、経理部や人事部、同社健康保険組合常務理事を経験。その才能は多彩であり、多くの資格を持つ(労働安全衛生トレーナー、第一種衛生管理者、心理相談員、ストレスマネジメント検定(マスターコース)、キャリアコンサルタント、健康経営アドバイザー)