日本の社会保障制度の大きな特徴として、「国民皆保険と国民皆年金」制度があります。いずれも加入は国民の義務です。米国や中国には、日本のような全国民をカバーした医療保険・年金制度はありません。
1922年にドイツやイギリスの社会保障制度を参考に、働く人を対象に健康保険法が制定され、その後、当時の主力産業である農家を対象に1938年に国民健康保険法が制定されました。その後、1958年に国民全体を対象とする医療保険制度にするために国民健康保険法を改正し、1961年から実施されました。これにより、我が国の1億2,000万人のすべてが何らかの医療保険制度に加入することとなり、国民皆保険制度が確立されました。
国民皆保険を支える組織として、まず国民健康保険があります。基本的には国民は国民健康保険に加入します。その中で、社会保険の被保険者は健康保険に加入します。さらに一定条件を満たしていると、健康保険組合に加入できるという仕組みです。
少し詳しい話になりますが、国民健康保険法第6条の1に、国保の被保険者の適用除外に「健康保険法の規定による被保険者」とされています。つまり、国保は医療保険制度の「最後の拠り所」というべき、重要な制度です。
健康保険は社会保険の一部ですから、その保険料に会社負担があります。一方、国保は社会保険ではないので、保険料全額が本人負担です。健保と国保の最大の違いはここです。
また、健康保険は働く人を対象としているので、万一、けがや病気、出産で休んだ時の収入保障という機能があります。特に健康保険組合の場合は、その組合独自の制度設計が可能です。それは例えば、高額療養費の加算給付や、直営保養所の運営、がん検診受診費用の補助などです。国民健康保険にはこれらの独自給付はありません。
皆さんはが健康保険組合に加入していられるのは、会社を退職するまで、あるいは75歳までと無期限ではありません。よって、健保組合にいる間にしっかりと健康な身体を維持していく必要があります。
