
新聞やテレビの報道で、少子高齢化が進行する日本では医療費が増大していると耳にすることがあります。時には「このままでは国の財政が破綻するのではないか」と感じるほどに深刻な報じられ方をしますが、実態はどうなのでしょうか?
OECD加盟国の保健医療支出の状況(2018年)*1	のグラフを見てみましょう。総医療費の対GDP比はOECD加盟国平均では8.8%なのに対して、日本は10.9%で第6位です。国民一人当たりの医療費はOECD加盟国平均では3992ドル。日本は4766ドルで15位です。ちなみに米国は両方とも1位(16.9%と10586ドル)です。
G7諸国における総医療費(対GDP比)と高齢化率の状況*1のグラフを見ると、日本は25.1%でダントツのトップです。一方米国の高齢化率は14.5%で22位。この2国を比較すると、日本は医療費がかかる高齢者の比率が高い割には意外と医療費が低いことが分かります。
次に医療分野についての国際比較(2017年)*1の表を見ていきましょう。これには各国の医療分野における様々な項目の数値を示しています。
これを見ると、日本は最も高齢化が進んでいるにも関わらず、若い人への対応が主である急性期医療病床の比率が高いことが分かります。このちぐはぐな医療体制を、高齢者への対応が主である回復期・慢性期中心の医療体制へ転換するため政府は様々な方針を打ち出しています。ですが、あまり進展していないのが現状です。
進行していく高齢化社会を安心して迎えるためには、制度の抜本的な見直しが必要だと私は考えますが、私たち一人ひとりにもできることがあります。それは日々の自己管理を怠らず、常に自身の健康を保つことに他なりません。
参考文献
*1) 医療保障制度に関する国際関係資料について
