カンピロバクター食中毒は、汚染された食品の摂取によって引き起こされる食中毒の1つです。タイトルの通り、カンピロバクター食中毒は世界で下痢を起こす4大原因疾患の1つです。さらに、日本国内で起こっている細菌性食中毒の中で、最も発生件数が多いのがカンピロバクター食中毒です。年間約300件、患者数は約2,000人に達するというデータがあります。というわけで、今回はカンピロバクター食中毒について解説します。
病原体はカンピロバクター属(Campylobacter)に属する細菌です。カンピロバクター属と一口に言っても17菌種あります。しかし、その中でも特に原因となるのはカンピロバクター・ジェジュニ(C. jejuni)とカンピロバクター・コリ(C. coli)と言われています。さらに、ヒトのカンピロバクター感染症の原因の95~99%はカンピロバクター・ジェジュニです。この細菌は家畜の腸管内に生息しており、微量の酸素がある環境で生育することができます。また、少量(500〜800個)でも感染を引き起こすことができます。
主に肉の中に存在するカンピロバクター菌を摂取することで、感染が発生します。特に、鶏肉を生や半生で食べると感染するリスクが高いです。また、井戸水や湧水からの感染事例もあります。さらに、犬や猫等のペットと接触が原因の感染例もあります。汚染された調理器具や手指などを介した二次汚染にも気をつけなければなりません。
感染から発症までの潜伏期間は一般的に2〜5日程度です。
症状はいわゆる食中毒の症状で、以下の通りです。
一般的には、症状が軽度であれば自然治癒します。(免疫不全の方を除く)
しかし、ギラン・バレー症候群(GBS)という病気になることもあります。この病気は、感染から1〜3週間たった後に発症します。主に、手や足の力が抜けてしまい、歩けなくなることが特徴です。この病気は、免疫が自分自身の体を攻撃することによって起こる病気です。
予防方法は以下の4つです。特に1が大切です。2〜4を行うことで二次感染を防げます。
2016年に5月に開催された「肉フェス」イベントにて約600人以上がカンピロバクター食中毒となる大規模感染が起こりました。その時の感染源は鶏むね肉をのせたお寿司でした。よく「新鮮だから大丈夫。」や「生がうまいんだよなぁ」という触れ込みがありますが、危険なので加熱された肉を食べましょう。これからの季節、野外イベント等に行った時は生焼けの肉に気をつけましょう。
国立感染症研究所:カンピロバクター感染症とは
厚生労働省検疫所:カンピロバクター感染症 (ファクトシート)
厚生労働省:カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)