OPINION田中新聞

薬大好き国民

2020/08/21
田中 克彦

薬剤費の比率

我が国の薬剤費は年間約10兆円と言われています。これは医療費全体の約2割であり、この比率が高いのか、そうではないのかを考えてみましょう。OECDの統計を見ると、保険医療費の一人当たりの支出はほぼ平均レベル(4,766ドル、2017年)ですが、その保険医療費に占める医薬品及びその他の非耐久性医療財支出の比率は平均より高く(18.6%、2018年)、なっています。参考までに、保険医療費の一人当たりの最高は米国(10,586ドル)で我が国の約2倍であり、公的保険が十分でない米国での大きな社会問題となっています。

このように、薬剤費の医療費に占める比率が高い理由は2つが考えられます。それは、薬剤そのものが高価であること、そして我が国の国民が薬剤を好んでいること、もしくは医師が薬剤を多く処方することが挙げられます。

文字通りの”安心剤”?

体調が悪い、身体の一部が痛いときに、医師に診察してもらった時に、薬の処方箋をもらえなかったら、どう感じますか?不安になりませんか?幾ら、不調の原因、痛みの原因を説明され、対処方法を指示されても、薬がなければ安心できない方が多いのではないでしょうか?現代では、できるだけ薬を使わない、頼らない医師が良いと言われています。私の経験でも、「心配でしたら、薬を出しましょうか?」と医師に尋ねられた経験もあるし、私が「何か薬を使わないくてもいいのですか?」と質問しても、「薬はありますが、気休めにしかなりません」と言った医師もいます。私はこのような医師は信頼できると思います。

賢い患者になろう

医師が処方箋を書き、それを持って薬局で薬を受け取った場合は、本人負担が原則3割、残りは公的医療保険の負担です。それ以外に、薬局で薬剤師に相談をするなどで薬を入手した場合は全額本人負担です。前者の医療用医薬品は国で価格が決められるので、安く買えることはないのですが、新薬と同じ効能でジェネリックという安価な後発薬を選ぶことができます。また後者の一般用医薬品は自由価格なので、安く買うことは可能です。近年、セルフメディケーション税制という、一般用医薬品のうち指定医薬品については、所得税の所得控除が受けられることができます。ジェネリックやセルフメディケーション税制を活用して、できるだけ薬剤費を節約することを考えましょう。

大事なことは薬を飲むよりは、生活習慣の改善などで自分自身の「治す力」を高めることです。


田中 克彦
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリー
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーのシニアコンサルタント。 1954年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部経済学科卒。日本発条㈱に1976年4月~2019年3月在籍し、経理部や人事部、同社健康保険組合常務理事を経験。その才能は多彩であり、多くの資格を持つ(労働安全衛生トレーナー、第一種衛生管理者、心理相談員、ストレスマネジメント検定(マスターコース)、キャリアコンサルタント、健康経営アドバイザー)
目次
  • 薬剤費の比率
  • 文字通りの”安心剤”?
  • 賢い患者になろう