単一健康保険組合の常務理事経験者である田中克彦氏が健康や健保について易しく解説します。
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評判の「スマホ脳」*1を読みました。著者はスウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセン氏です。なかなか面白く、一気に読み終わりました。
いきなり、始めにアップルの創業者である故スティーブ・ジョブスの言葉である「うちでは、子供たちがデジタル機器を使う時間を制限している」が登場して驚きます。あの大物がそう考えていたのかと。そうなると、スマホの害を信じたくなります。本書はそれを科学的に説明しており、納得性の高い内容だと感じました。
北欧のスウェーデンというと、社会保障の備わった上品な国のイメージがありませんか?本書ではその国は今、国民の9人に1人は抗うつ剤を常用する「高医療国」であり、「高福祉国」と言えそうにはない状況だと語られています。スウェーデンのスマホ利用度は日本より高く、2歳時でも8割以上はインターネットを常用し、子供から大人までスマホを片時も手離さず、まるで肉体の一部であるかのような利用状況だそうです。
数々の調査結果から、スマホの長時間利用によってストレスが高くなる、集中力が低下する、運動不足になる、比較対象が増え満足度が下がるなどの問題点を指摘しています。その詳細な説明はぜひ実際に本書をご覧下さい。
また、著者はデジタル時代のアドバイスとして以下を挙げています。
私自身スマホを使い始めてから、ポケットに入るコンピューターとして重宝していますが、同時に問題も感じています。まずは、漢字が書けなくなったこと、電話番号を覚えられなくなったことなどです。ですが、それらを上回るメリットを感じているのも事実です。行先の場所を案内してもらえる、本やCDを簡単に買えることなどは、もう捨てられない機能です。
要はバランスの問題です。私はSNSをほとんど利用しませんし、アナログな固定電話を使い、新聞を定期購読し、本も電子書籍を利用することはありません。そして夕食後はPC、タブレット端末、スマホは使わないようにしています。
スマホの存在自体が悪いのではなく長時間の使用を控えればいいのです。日差しの下を歩き深呼吸すること、スマホを置いてジムで汗を流すことなどの素晴らしさを知れば、おのずと適切なバランスは取れていきます。
人類はその科学技術の進展とともに歩んでいます。行き過ぎたデジタル化を顧みて、常に何が心身にとって健康か、何が幸せにつながるかを考えていきましょう。
参考文献
*1)https://www.shinchosha.co.jp/book/610882/
