OPINION田中新聞

高齢者の医療費について【後期高齢者支援金の加減算制度】

2021/07/16
田中 克彦

目次

後期高齢者支援金という曲者

今回はやや専門的な話をします。国は2008年から始まった現在の医療保険制度の中で、どうしても高齢者の医療費負担を削減したいようです。そのために、健保組合に大きな費用負担を課し、それを減算(インセンティブ)と加算(ペナルティ)という”アメとムチ”を使い分け、健保組合が生活習慣病防止に真剣に取り組むよう仕向けています。これが後期高齢者支援金の加算・減算の仕組みです。

取り組みが遅れ結果が伴っていないと加算、逆に取り組みが進み結果が出ていると減算されます。この加減算の仕組みによって、もともと高額である支援金がさらに増える可能性があります。この制度が始まる前年に私が主要事業主に説明に回った時には、「健診結果が悪い人は採用しない」「健診結果が悪い社員の保険料を上げたい」などの声が上がっていました。

減算の指標・配点

ここで簡単に、後期高齢者支援金の減算の仕組みを紹介します。200点満点で7つの項目にそれぞれ配点されていて、これらの点数を上位から3つのグループに分け、上位から10~5%、5~3%、3~1%の減算率となります。

<配点>

1.特定健診・保健指導の実施(糖尿病等の生活習慣病予防、個別の保健指導)
85点

2.要医療の者への受診勧奨・糖尿病等の重症化予防
21点

3.加入者への分かりやすい情報提供、特定健診のデータの保険者間の分析
4点

4.後発医薬品の利用促進
22点

5.がん健診・歯科健診等(人間ドックによる実施を含む)
34点

6.加入者に向けた健康づくりの働きかけ(健康教室による実施を含む)、個人のインセンティブの提供
18点

7.事業主との連携、被扶養者への健診・保健指導の働きかけ
16点

健保組合の本音

これらの減算を実現するためには、一定以上の資源(資金、医療担当者など)の投入が必要となります。しかし、その資源にかかる費用が想定される減算の額を上回っていれば、実施を躊躇するでしょう。一方で、健保組合は公法人として法律に定められた施策を実施する義務があります。この狭間を揺れ動いているのが本音ではないでしょうか?

後期高齢者支援金制度は仕組みが複雑で身近には感じられないかもしれませんが、みなさんも負担しているものです。ですが、この負担は一人ひとりが健康であれば減っていきます。これは健康保険料全体についても同じことが言えるでしょう。解決策は簡単です。ここでも「健康第一」です。


田中 克彦
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリー
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーのシニアコンサルタント。 1954年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部経済学科卒。日本発条㈱に1976年4月~2019年3月在籍し、経理部や人事部、同社健康保険組合常務理事を経験。その才能は多彩であり、多くの資格を持つ(労働安全衛生トレーナー、第一種衛生管理者、心理相談員、ストレスマネジメント検定(マスターコース)、キャリアコンサルタント、健康経営アドバイザー)