【日常に潜む危険】ヒートショックで溺れないために【冬の風呂】|Bonne Santé
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【日常に潜む危険】ヒートショックで溺れないために【冬の風呂】

1/15/2021
中川 八十彦

入浴中の事故

毎年、2万人前後の方が入浴中の事故でなくなっています(2020年中に交通事故で亡くなった方は2839人)。また、入浴中の事故死は冬季に多く、気温と相関しているという報告もあります。よって、入浴中事故の一因としてヒートショックが考えられます。今回はそんなヒートショックについて、詳しく説明します。
 

そもそも、ヒートショックって?

ヒートショックとは、急激な温度の変化に伴って血圧や脈拍が変化することです。血圧や脈拍に急激な変化があると、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性が高まります。何よりも浴槽内で脳卒中や心筋梗塞が起こった場合、溺れる可能性が高いです。人は、寒い環境に置かれると保温のために血管を収縮させ、血圧は上昇します。逆に、温かい環境に置かれると血管を拡張させ、血圧は下降します。入浴の際の一連の行動と温度変化を想像していただければ判ると思いますが、入浴は寒くなったり温かくなったりを繰り返すので血圧も乱高下するので実はリスクが高い行動なのです。
 

ヒートショックになりやすい人

ヒートショックは主に65歳以上の方や、持病を持っている方がなりやすいと言われています。以下のチェックリストに該当する場合はヒートショックのリスクが高いです。ご自身や家族がどれだけ当てはまっているかを確認してみてください。もし、多くの項目にチェックが付いてしまった場合は習慣の見直しを検討してください。

  • 肥満である
  • 飲酒後に入浴する
  • 食直後に入浴する
  • 一番風呂が好き
  • 熱い湯(42℃以上)が好き
  • 長湯(30分以上)が好き
  • 65歳以上(特に75歳以上)
  • 以下のいずれかの病歴がある

    狭心症、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞

  • 以下のいずれかの持病がある

    不整脈、高血圧、動脈硬化、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群
 

ヒートショックを防ぐ5つの方法

①   脱衣室・浴室の温度を上げる

ベストな方法は、家中の扉を開けて家の中全体に暖房を効かせることです。電気代が気になる方は、入浴する前に、ファンヒーターなどで脱衣室・浴室を温めましょう。また浴室は、お湯を張った浴槽のフタを開けておいたり、お湯を溜めるのにシャワーを用いたりして温めるといいでしょう。
 

②湯温を41℃未満に

寒い冬は熱い風呂に入ることでポカポカと温まりたいものです。また、高齢者には風呂は熱いものと決めている方もいますが、そこは我慢が必要です。温度差を出さないために温度は高くても40度に設定しましょう。
 

③入浴時間は10分程度で

これも寒い季節には難しいかもしれませんが、事故を防ぐために我慢です。もしどうしても入浴時間としては物足りないと感じるなら、別の時間帯に再度、入浴しなおすのはいかがでしょう?
 

④浴槽から急に立ち上がらない

浴槽から出るとき、急に立ち上がると脳まで血液を運ぶことが出来ず、めまいや失神をおこすことがあります。浴槽内で失神することを想像するとゾっとしますね。また、転倒のリスクにもなるのでゆっくり立ち上がるようにしましょう。
 

⑤入浴時は、家族にひと声かけよう

同居する家族がいる場合は、入浴は家族がいるときにしましょう。入浴前に一声かけてから入れば、もしもの時に発見が早まり、助かる可能性が高くなります。リスクが高い方が入浴する際は小まめに見に行ってあげましょう。
 

さいごに

以上、入浴中のヒートショックについてご紹介しました。実は、入浴後も血圧の急な変動がおこるので注意が必要です。またトイレや廊下でもヒートショックは起こるので気を付けましょう。
日本は入浴の文化が浸透しているため、ヒートショックの事故も多いようですが、家族や大事な方が事故に合わないように、楽しい冬が過ごせるよう努力していきましょう!

参考文献

https://kotobank.jp/word/%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/160120kouhyou_2.pdf
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kansatsu/oshirase/nyuyokuchu.html
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130


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中川 八十彦
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリー
株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーのマネージングディレクター。 1995年、横浜生まれ。東京農業大学醸造科学科の学士課程を修め、菌類と日本酒の生化学的な理解を深めた。卒業論文は『古細菌の単離と系統解析』。その後、株式会社東芝デジタルソリューションを経て株式会社オゾンヘルスケアラボラトリーに入社。
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